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桜蔭中の理科の入試問題より

2016.04.23(Sat)

●吉祥寺校:久道    ●カテゴリー:

 

本年度も筑駒・御三家中学を始めとする最難関中学校の理科の問題を紹介しながら、過去に出題された問題や最難関校で求められる力を紹介していきます。

 

本年度の桜蔭中の大問3では「ムラサキイモ」を用いた指示薬の問題が出題されました。

みなさんのよく知っているリトマス紙やムラサキャベツ液と同様に、成分が水に溶けることで酸性、中性、アルカリ性を示す指示薬として使用することができます。今回の問題は食塩水、お酢、アンモニア水にムラサキイモの粉を水で溶いたもの、BTB溶液、ムラサキキャベツ液を加えたときの色の変化を比較する実験でした。

ムラサキイモにはアントシアニンという色素が含まれています。このアントシアニンは液体に溶けたときに、酸性であれば赤っぽい色、中性であれば紫っぽい色、アルカリ性であれば青っぽい色に変化する性質があります。「っぽい色」と書いたのは、アントシアニン以外に含まれる成分により物質によって違う色に変化するからです。同じようにアントシアニンが含まれる身のまわりのものには、ムラサキキャベツやムラサキタマネギ、ブルーベリーなどがあります。

 

ここまで出てきた指示薬として使えるもののうち、ムラサキイモ、ムラサキキャベツ、ムラサキタマネギ、ブルーベリーは食材として使われていますね。料理の途中や食べているときに色を変化させることができますし、とても簡単に実験をすることができるので中学入試の題材としてこれらは今まで多くの学校で取り上げられてきました。

 

例えば、ホットケーキミックスにブルーベリーを混ぜ、ブルーベリー味のパンケーキをつくります。ホットケーキミックスには重曹(炭酸水素ナトリウム)が含まれているため、混ぜたすぐ後は弱いアルカリ性なので生地は紫に近い色をしていますが、生地を焼いて加熱することで重曹(炭酸水素ナトリウム)はアルカリ性の強い炭酸ナトリウムへと変化します。このため、加熱をすると生地の色がどんどん青色へと変化していき、焼き上がる頃には青緑色に近い状態になります。更に、できあがったパンケーキにレモン汁などの酸性の物質をかけると、今度はケーキがピンク色へと変化します。すべては液性が変わったことでブルーベリーに含まれているアントシアニンの色が変化することで起こります。ちなみに、炭酸水素ナトリウムが炭酸ナトリウムへと変化する反応は炭酸水素ナトリウムをパン生地に入れる理由とともにしっかりと理解しておく必要があります。

 

同じように、ムラサキキャベツを切り刻んで焼きそばの具材とします。焼きそばの麺には「かんすい」というアルカリ性の物質が含まれているため、ムラサキキャベツを具材として焼きそばをつくると緑色の焼きそばができあがります。また、できあがった焼きそばに隠し味としてお酢を加えると・・・この先はもうわかりますね。

 

今回はアントシアニンを含んだものを紹介しましたが、このように液性によって色が変化するものは他にもたくさんあり、前述の通り中学入試の題材として実際に取り上げられています。

リトマス紙、BTB溶液、フェノールフタレイン液、ムラサキキャベツ液、このあたりは学校の教科書にも塾のテキストにも出ている内容です。

 

ムラサキタマネギ、ブルーベリー、パンジー、アサガオ、バラ、ブドウ、黒豆、サツマイモの皮、紅茶、アジサイ、ツユクサ・・・などなど、身のまわりで液性によって色が変化するものはたくさんあります。

 

実際、近年の入試だけを見ても、これらのものやこれらのものを使った実験が桜蔭、女子学院、渋渋、立教新座などの難関校で出題されています。

 

もちろん、その場で考えて解くことも重要ですが、身のまわりのものがどのように変化するのかを知っているか知らないかで差がつく問題であると言えます。

 

6年生のみなさん、いよいよ受験生になりましたね。

これから10ヶ月、自分の第一志望校を目指し日々努力を続けてください。

しかし、近年の最難関校の中学入試ではこういった身のまわりで起きていること、身近な理科が出題される機会が増えています。

受験勉強の傍ら、自分の身のまわりで起きていることに興味関心を持ち、目を向け、考えることを意識してください。

みなさんの身のまわりに受験の、理科の題材は数え切れないほど潜んでいます。

 

がんばれ!受験生!
自然災害に関する入試問題

2016.04.23(Sat)

●池袋校:川島    ●カテゴリー:

 

2016414日以降、熊本県では大きな地震が続いています。皆さんもニュースなどで知っていることと思います。日本は自然の豊かな素晴らしい国土を持っていますが、同時に地震や火山、台風など自然災害の多い国ですね。中学入試ではこのような地震や火山、台風などに科学的な目を向けた問題が多く出題されます。中学校の先生方は、入試問題を通して受験生の皆さんに、地震や火山などの仕組みに興味を持って欲しい、あるいはどれくらい興味関心を持っているのか、その仕組みを理解しているのかを問いかけてみたい、という気持ちから出題しています。

 

では具体的に今年の入試問題を振り返えてみましょう。まず麻布中の問題から見てみましょう。大問4ではヴェーゲナーの大陸移動説から話が始まって、「プレートテクトニクス」という理論の話になり、そこから火山活動の観測方法についての問題へとつながっていきます。途中の問7では日本とハワイが何年後にくっつくのかを計算する問題まで出ていますね。どうですか、皆さんも興味があるのではないでしょうか。ぜひ挑戦をしてみてください。麻布中の先生方も、入試問題を通して「プレートテクトニクス」理論について興味を持って欲しい、理解を深めて欲しいと考えているのだと思います。

 

続いて女子学院の問題では、2014年に噴火した「御嶽山」をテーマにした問題が出題されていました。「御嶽山」の噴火が「水蒸気爆発」であったことから、その説明を求める問題があり、続いてここ1~2年で起こった火山のニュースに関する文章が3つ出ていて、おおよその位置を答える問題が出ていました。受験勉強として今年のニュースだけを覚えて受験に臨んだ受験生では全問正解は難しいかもしれません。日々のニュースにどれだけ関心を向けることができるのか、その姿勢が問われているとも言えますね。

 

次に雙葉中では、1923年に起こった「大正関東地震」についての問題が出題されていましたが、問題の内容は知識ではなく地震の被害の原因を、資料をもとに考える問題でした。つまり入試問題を通して、資料を読み解く力を試しているのはもちろんですが、その裏にはやはり理科の先生の「興味を持って欲しい」「もっと知りたいと思って欲しい」という意図がうかがえます。

 

こういう気持ちは、理科の先生ならではの性質と言ってもいいでしょう。私も授業をしていて、生徒から科学的な質問が出てきたときは本当に嬉しくなります。さらにこちらの説明に対して、追加の質問が出たとき、そしてその質問がとても的を射ているときは嬉しさが倍増します。こういうやりとりが理科の本当の楽しさなのかもしれません。受験生の皆さんは、問題を作った中学校の先生と入試問題を通して、ぜひこういうやりとりを楽しみながら問題を解いてみてください。

○5×○5

2016.04.19(Tue)

●池袋校:滝澤    ●カテゴリー:

 

今日は計算のお話です。

一の位が5である2けたの数の平方数を簡単に計算する方法をご存知でしょうか。


15×15=25   25×25=25    35×35=1225

45×45=2025  55☓55=3025 65☓65=4225

7575=5625  8585=7225 9595=9025


下2けたはすべて「25」です。では、下線部に何かルールは見つからないでしょうか。


=1☓2  =2☓3  12=3☓4  

20=4☓5 30=5☓6 42=6☓7 

56=7☓8 72=8☓9 90=9☓10


になっていることに気づきますか。

たとえば75☓75ならば,下2けたは25を書き,上2けたは7☓(7+1)を計算すればよいということになります。これは非常に覚えやすいと思いますから、覚えて使えるようにしておきましょう。

 

さて,それではなぜこのような仕組みになっているのでしょう。十の位を○として,

○5☓○5を考えてみましょう。○5=○×10+5 ですから,

(○×10+5)☓(○×10+5)の計算をすることになります。この式のかっこを外す計算方法は,本来中学数学ですが,御三家レベルの算数では問われることもありますので,知っておきましょう。

 

(○×10+5)☓(○×10+5)           

=(○×10+5)☓○×10+(○×10+5)☓5    

=○×10☓○×10+5☓○×10+○×10☓5+5☓5 

=○×○×100+○×50+○☓50+25        

=○×○×100+○×100+25            

=○×○×100+1☓○×100+25          

=(○+1)☓○×100+25              

 

よって○5☓○5の計算は下2けたは25,

上2けたは(○+1)☓○になることがわかります。

 

このような豆知識は

①まず覚える。 

②使いこなせるようにする。 

③最後に意味や理由を理解する。

の順番で身につけることをおすすめします。

社会科よもやま話 その4 御三家入試問題より

2016.04.18(Mon)

●自由が丘校:田島    ●カテゴリー:

 社会科担当の田島です。
2016年度の御三家入試問題から思いつくままに書いていきます。
今回から数回は開成中学の問題から考えます。
2016年度入試では,かつて開成の代名詞にもなっていた東京問題が復活したことが話題になりました。ただし,東京に居住している受験生が有利になる問題ばかりではありません。題材が東京になっていて,それを利用して広い分野を問う形になっていました。


さて,2016年度の文章は東京にある河川を題材にした内容になっています。
対策はいろいろ考えられますが,開成の場合,過去問題を古い年度まで徹底的にやり込むことが必要です。似たような問題が出題されたりするからです。
それ以外で対策を取るとすれば,東京に関しての知識を広く持つことです。でもそれが難しいのですよね。あまりにも漠然としていますから。今回からのブログでは,開成中学志望者諸君が少しでも東京に関しての知識をとらえる助けになればとの思いから,もし見聞を広げるのであれば,こんなのはどう?ということをにじませながら進めていきます。

どんなことを知っているのがいいかというと,
地形だと,東京の河川や台地,坂などは整理しておく方がいいと思います。今年度は河川が題材でした。水に関連することでいえば,河川だけでなく今は暗渠になってしまっている河川,掘,江戸時代につくられていた水道についてなども知ってほしい知識です。
時代でいえば,江戸以降現在までの東京(江戸)を考えるべきで,江戸時代ならば風俗,文化,明治時代以降であれば,都市としての発達状況や,戦争との関連についても知っておくといいでしょう。


まず,地形について考えます。
「江戸」という地名は「江」という文字が使われています。この漢字は水を表す漢字でしたね。河川であったり湖であったりします。「近江」は琵琶湖が都の近くという意味なのは知っているでしょう。反対に浜名湖は「遠江」とよばれていました。
東京(江戸)には,河川が多くあります。今年度の入試問題で取り上げられた河川は隅田川です。隅田川に関連する水系や沿岸に分布する建物なども書かれています。東京に流れている河川については支流を含めての位置関係は調べておきたいですね。江戸時代や明治時代以降の河川改修のことも調べておき,どう変化したのかを知るとおもしろいと思いますよ。


☆江戸の水上輸送について
江戸は「水の都市」といってもいいくらい,河川や水路などが生活に欠かせないものだったようです。現在の下町といわれている辺りでは,河川や水路を有効に使った舟での移動がさかんでした。今のタクシーのような役目をもっていたようです。もちろん,物資の輸送にもさかんに使われていました。人の輸送というと駕籠を思い浮かべますね。でも,駕籠は人間が担ぐ物ですから,スピードは人間の脚の運び方しだいになります。当時,もっともスピードが出せた乗り物は舟でした。江戸市中で馬を走らせるわけにはいかないでしょうし,馬は動物である以上休息も必要になってきます。ですから,水の上を流れるように進む舟が人々の足としてさかんに使われたのでした。
授業で菱垣廻船や樽廻船などを学習したかもしれませんが,これらの船は長距離(海上輸送)のための船です。江戸の町中で使われていた舟は,川遊びに利用した屋形舟,タクシーのように利用した日除舟や猪牙舟(ちょきぶね),物資の輸送に利用した荷足舟や押送舟(鮮魚の輸送),肥舟(下肥を輸送)などがありました。屋形舟は今でも使われていますね。
舟による水上輸送について,長距離の輸送と共に江戸市中の輸送についても調べてみてもいいかもしれ
ません。


次回は,江戸の名物,仕事と地名の関係や多くある「坂」について書いていきたいと思います。


アルゴ生・ジュニア生(小1~3)の春のようす

2016.04.14(Thu)

●ジュニア担当    ●カテゴリー:

 

新学期が始まりました。小学校に通っているみなさん、並びに保護者のみなさま、ご入学・ご進級おめでとうございます。ひとつ大きくなって、誇らしそうな笑顔を見ていると、私たちも自然と笑顔になってしまいます。2月から来てくださっている1・2年生が「もう小学校行ってるから!」「今日から2年生だからね!」と教えてくれたのが、とても印象的な1週間でした。

さて、今日は春休み明けということで、春のジュニア生(小1~小3生)のようすをお伝えしたいと思います。

まずはアルゴ1年目クラス生(小1・2)です。こちらは新学期始まってのお子さんが多かったので、入学式や担任の先生の話題が授業前に飛び出していました。以前アルゴクラブの授業の内容はちらっと書かせていただきましたが、色々なゲームが盛りだくさんなのがアルゴクラブです。来た瞬間から、「今日はIキューブやる?」「立方体できるようになったからやりたい!」「箱詰めの練習してきたよ!」と元気な声。しかし、自信がある競技になると様子が変わってきます。授業前には仲良しで楽しそうだったのに、自信がある競技だけはどうしてもお友達に負けられないようです。良い意味で切磋琢磨しながら、楽しく学んでいってほしいと思います。

そしてアルゴ2年目クラス生(小2)は、内容も高度になってきて、制限時間も短くなってくるので気が抜けません。たとえば、今まではただ立方体を作っていたはずが、市松模様の立方体を作ってみよう、と突然言われたりします(きっと、ちょっといじわるコーチだ!と思っていますね)。1年間培った集中力と感覚を駆使して必死でチャレンジするも、制限時間内に出来なくて失敗。「えー!うそ!はやいよー。」ととっても悔しそう。その悔しさをバネに、どんどん成長していってほしいです。

ジュニアコースの小2生は、春休みの算数に立体の問題がたくさん出てきました。まずは一生懸命頭だけで考えてみます。中には問題の紙をくるくる回して考えている子も。何をするにも全力なのが、とっても素晴らしい。そして、運命の結果発表です。先生に手伝ってもらって、サイコロを作ってもらった時の反応は...「あってるー!!!」「あー!逆だった!全部反対!」「あ、そっか!全部角のところに集まるのかー!」と一喜一憂です。高学年になって、一喜一憂しすぎるのはだめなのかもしれませんが、現段階では、必死で考えた答えに対する素直な反応なので、興味を持てていてよい感じです。

小3生はおつりの問題で頭を悩ませる子が多かったように思います。たとえば、8円のものを買って、13円払うと、おつりは5円玉1枚ですね。でも、14円払ったら、6円(1円玉と5円玉1枚ずつ)返ってきてしまいます。この1円は「おつり」ではなく、「払いすぎて返された」1円です。でも、これは日常的に小銭と対峙していない3年生には非常に難しい感覚です。「わかったー!...あれ?なんかちがう??」のくりかえしで、頭も心も少したくましくなったようでした。

国語では春期テキストに出てきたお話の登場人物を想像してみると、「どんなかおなのかな?」「この人(※登場人物)今どうしてるの?」「え?!ここでおわり?!このあとどうなったの?(※問題なので、本の一部を抜粋したものでした)」と、気になることがたくさんあります。お話に入り込んで想像すると、続きがどうしても気になりますし、挿絵があるなら見てみたい気がします。いつも読みたくない気がしている、字が書いてある本だって、なんだか読んでみたい気がしてくるので不思議です。お話が気になった時は、ぜひ図書館などで探してみてください。もしかしたら、それとは違う面白い本にだって出会えるかもしれません。

以上、アルゴ生・ジュニア生の春の様子をお届けしました。

再び問われる主体的自我

2016.04.06(Wed)

●吉祥寺校:福井    ●カテゴリー:

  2016年の中学入試・国語科においては、心の内なる経験知を積み重ね、内面的陶冶を勧める文章が多く出題されました。

 

「生きる事をあきらめずに、妥協せずに、......今、どう生きているか......"輝ける生"を生きるかどうか」【筑波大学附属駒場中『死に刻む』(園子温)

 

「アラスカではどんなことでも、自分自身で経験し、学びとっていかなければならない」【開成中『アラスカ 光と風』(星野道夫)

 

「自分の心を確かめる......準備が必要であり、待つことも、期待も、また不安もそして決意も必要」【桜蔭中『建築を愛する人の十二章』(香山壽夫)

 

「世間の評価や価値観を超えた......自分の眼と手で見つけたものを、自分の流儀で......」【女子学院中『本の夢 小さな夢の本』(田中淑恵)

 

「子どもの文学は、日常の中にある幸福に驚く力を私たちの中に培ってくれる」【女子学院中『幸福に驚く力』(清水眞砂子)

 

「『自分では見えない自分の成長』を実感させてくれるのが『お茶』だ。最初は......わけがわからない。ある日を境に突然、視野が広がるところが、人生と重なる」【雙葉中『日日是好日』(森下典子)

 

「道具というものは......必ず主体である私たちの精神とか心とかいうものの癖を受けている」【渋谷幕張中『悪に耐える思想』(福田恒存)

 

自然環境や社会・文化など、外面的な構造を述べた文に比べ、人間自身の、今、ここにおける主体性を問う文章が増加しているといえそうです。

私たちは、震災を経験し、共通の危機に対しては、何を差し置いても他者と手を結ぶ助け合いの精神を学びました。そして、物理的・精神的な復興の進捗とともに、そろそろ、私たち自身の心のあり方を再び模索する時期に差し掛かってきているのかもしれません。

私たちも、受験生たちとともに、これらの名文・良問に触れながら、自主自立の人間像のありようを、わが胸に問いかけていきたいと思います。

「しろばんば」「夏草冬濤」「北の海」(井上靖)~読書の思い出⑥~

2016.04.03(Sun)

●自由が丘校:中村    ●カテゴリー:

今回は4月から中学1年生になる卒業生の皆さんに読んで欲しい本を紹介したいと思います。といっても受験の終わった皆さんには、あまりここを見ていただけてないかもしれませんので、新6年生以下の皆さんにもぜひ参考にしていただければ幸いです。

 

好きな作品はたくさんありますし、好きな作家もたくさんいますが、好きな作品を一つ挙げろとなると「しろばんば」、好きな作家を一人挙げろとなると、井上靖氏となります。氏の作品に私が共通して感じるのは「透明な寂寥感」といったようなものでしょうか。「猟銃」しかり「闘牛」しかり「氷壁」しかり。読み始めの最初から、悲しい結末に向かっていくような予兆を感じさせます。しかしそれが決して品のないものではなく、「透明な」という表現にふさわしい上品な「寂寥感」なのです。

氏の小説は大まかに4つのジャンルに分けられると思います。上記のいわゆる「純文学的作品」、「天平の甍」「敦煌」などの「歴史もの」、あまり知られていないかも知れませんが、「憂愁平野」「あした来る人」などのいわゆる「中間小説(大衆小説)」、そして今回ご案内する「しろばんば」「夏草冬濤」「北の海」などの「自伝的小説」となるのでしょう。「あすなろ物語」は有名ですね。

「歴史もの」の短編に「僧行賀の涙」という作品があります。遣唐使として30年の歳月を経て日本に戻って来た僧行賀が万感胸に迫り、様々な質問に答えられずただ涙を流すばかり、というラストのシーンは、その光景がありありと目に浮かんでくるようでした。短編ではありますが、大変印象深い作品です。「憂愁平野」「あした来る人」のいわゆる大衆小説も大変面白い作品です。

 

さて、前置きが長くなりましたが「しろばんば」「夏草冬濤」「北の海」の自伝的3部作の紹介です。「しろばんば」は中学入試問題にもよく出題される有名な作品です。洪作少年の湯ヶ島での小学生時代を描いた叙情豊かな作品です。湯ヶ島に行くと今でも、土蔵跡地、上の家(本家)、幸夫(友人)の家、などわかるように表札のような札が掲げられています。地域をあげて、しかしさりげなく「しろばんば」を大切に、誇りに思っていることが伝わってきます。おぬい婆さんの溺愛に近い愛情を受けて育っていく洪作少年の成長が描かれていきます。この作品のラストシーンにも「透明な寂寥感」を覚え、しみじみとした読後感が残ります。

「夏草冬濤」は、家を離れてお寺に一人下宿して旧制沼津中学(5年制)に通う洪作少年のささやかな思春期の始まりのような物語です。文学好きな友人たちとの出会い、親戚の女の子に翻弄されつつも、どこかまぶしいものを感じる洪作少年。今の中高一貫校のひとつの理想のような旧制中学での、自由で少し放埓な、しかしのりを外さない日々が描かれています。中高生活真っ只中の子供たちより、お母様お父様の方が、自らの中学高校生活を懐かしく思い出しながら読めるかもしれません。

「北の海」は沼津中学を卒業した洪作が浪人しながら第四高等学校(今の金沢大学)を目指す迄の話です。浪人時代のわずか1年にも満たない短い期間の物語です。浪人しているにもかかわらず、勉強するでもなく、中学校の柔道部に卒業生として出入りして柔道の練習に明け暮れる洪作。ある日四高の柔道部員に出会い、弱い者が強い者に勝つための柔道を語られ、魅せられていきます。弱い者が強い者に勝つには立ち技勝負ではダメで、すぐ寝技に持ち込むというわけです。「練習量がすべてを決定する柔道」「四高には勉強をしに来ると思うな。柔道をしに来たと思え」寝技ばかりの練習で耳がきくらげのようになってしまうのですが、「この世に女はいないものと思え」というわけです。そう思わないとやっていられない、と四高の柔道部員は熱く語ります。野放図な生活を送っている洪作なのに、なぜかそのストイックな世界にひかれて、四高柔道部の夏稽古に参加するべく金沢に向かい、一夏を過ごした後、四髙受験の意志を固めていくのです。金沢の街が、日本海(北の海)の浜辺が目の前に広がってきます。「青春小説」と呼ぶにふさわしい懐かしさを感じずにはいられません。

 

受験生には「練習量がすべてを決定する受験」という言葉におきかえることが出来るかもしれません。

洪作のように「四高で柔道がしたいから」という動機でも良いと思います。第一志望の中学校を目指す、君たちなりの強い動機を持てると良いですね。そしてどうせ目指すならストイックに追い求めてみませんか。目的達成のためにストイックになれるのも素敵なことだと思います。

 

「しろばんば」「夏草冬濤」「北の海」の三部作、どの作品からでも読めます。ぜひご一読下さい。

中学生には素敵な中学生活を、小学生には悔いのない受験生活を、保護者の皆さまには懐かしい青春時代の思い出を、きっと届けてくれるはずです。

うそつきパズル

2016.04.01(Fri)

●吉祥寺校:太田    ●カテゴリー:

4月1日にちなんで,うそつきパズルの問題を1題用意しました。

正直者は正しい事のみを言い,うそつきは誤ったことのみを言います。A,B,Cの3人が,互いについて次のように言いました。
A「Bはうそつきだ」
B「CがうそつきならAはうそつきだ」
C「「Aが正直者ならBは正直者である」のならば,ぼくはうそつきだ」

(1)Aは「正直者」「うそつき」「どちらと考えてもうまくいかない」のどれにあたりますか。
(2)Cの発言のうち,「正直者」「うそつき」に関する部分の一か所を逆にする(「正直者」→「うそつき」,「うそつき」→「正直者」に変える)ことで,Bが正直者になります。どこを逆にすれば良いですか。

※以下,スペースを空けます。お子様と一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。※











解答(1)どちらと考えてもうまくいかない(2)「「Aが正直者ならBも正直者である」のならば,ぼくは正直者だ」とすればよい

解説
「XならばY」という条件文は,Xが正しくYが正しくない場合に限って,誤りになります。条件部分にあたるXが誤りのときには,Yの内容がなんであろうと,正しいことになります。例えば,「4月が31日まであるのなら,今すぐ月まで歩いて行ってやる」といってもうそにはなりません。

(1)もしもAが正直者だとすると,Bはうそつきということになる。Cの発言は,「Aが正直者ならBも正直者である」という条件部分が誤りであることから,正しい。よってCは正直者となる。よって,Bの発言は,その条件部分が誤っているから,正しい。するとBは正直者になるので,矛盾する。
 つぎに,もしもAがうそつきだとすると,Bは正直者になる。Cの発言は,条件部分が正しいことから,もしもCがうそつきであるのなら,正しいので,矛盾する。また,もしもCが正直者であるのなら,誤りとなるので,やはり矛盾する。
 よって,どちらと考えてもうまくいかない。

(2)Bが正直ものなら,Aはうそつきとなる。「「AがうそつきならBは正直者である」のならば,ぼくはうそつきだ」の場合,「AがうそつきならBは正直者である」という条件部分がただしいので,「ぼくはうそつきだ」に関して矛盾が生じる。
「「Aが正直者ならBはうそつきである」のならば,ぼくはうそつきだ」の場合,「Aが正直者ならBはうそつきである」という条件部分がただしいので,「ぼくはうそつきだ」に関して,やはり矛盾が生じる。
「「Aが正直者ならBは正直者である」のならば,ぼくは正直者だ」の場合,「Aが正直者ならBは正直者である」という条件部分がただしいので,Cが正直であるのなら,正しい発言となり,Cがうそつきであるのなら,誤りの発言となる。よって,Cの発言の真偽は決まらないものの,矛盾は生じない。
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