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④ 合教科問題

算数が苦手で悩んでいる太郎さんのもとに、数学の学者であるおじさんから手紙が届きました。
【おじさんからの手紙】と【おじさんの同封したクイズ】を読んで、あとの(1)~(8)の問いに答えなさい。

おじさんからの手紙

 太郎くんに、少しこんなお話しをしましょう。
 太郎くんは、この宇宙がどう成り立っているのか気になったことはないですか?古代ギリシャの哲学者たちは、万物の根源には何があるんだろう、宇宙つまりこの世界はどのような原理で成り立っているんだろうということに悩み、それを突き止めようとしました。原理とは、物事の根本的な根っこにある法則のことです。万物の根源は水である・火である・原子である、など、いろんな主張がありました。どれも、「そうかもしれないなぁ」と思うでしょう?でも、哲学者ピタゴラスとその弟子たち――ピタゴラス学派と呼ばれます――は「万物の根源は数である」と主張していました。宇宙の原理として、数と数の間の美しい関係があり、それが全体の調和を生み出しているというのです。
 宇宙が「数」でできているなんて、おどろきの考えですよね。
 さらに、ピタゴラス学派がそのことに気がついたのは、「音」を通じてでした。音と数にはどんな関係があるんだろうって、不思議に思いませんか?

 こんな伝説があります。ピタゴラスが鍛冶屋(※)さんの前を通りかかると、中から鍛冶職人さんたちのふるうハンマーの音が聞こえました。カーン、カーンという音、太郎くんも聞いたことありませんか。ピタゴラスはそれを聞いていると、重なり合ったハンマーの音が気持ちよく美しく響くときもあれば、不快に響くときもあることに気づいたのです。
 ハンマーを調べてみると、一方のハンマーの重さを1とすると、もう一方のハンマーの重さが2のとき、あるいは一方が2でもう一方が3のとき、あるいは一方が3でもう一方が4のとき、気持ちよく響くことがわかりました。2本のハンマーの重さがきれいな整数の比になるときに、重なり合う音もきれいに響くのです。
 なるほど、数と数の間の美しい関係が調和を生み出している。ということは、すべては数学的原理で成り立っているのではないか?宇宙のすべては、数学的原理で――。ピタゴラスはそう考えたのです。

 もう少し科学的に信憑性(しんぴょうせい)のあるエピソードによれば、ピタゴラスは弦(ギターやハープなどに張られているもの。見たことがありますよね。)を使って実験したらしいのです。2本の弦について、一方の弦の長さを1とすると、もう一方の弦の長さが2のとき、あるいは一方が2でもう一方が3のとき、あるいは一方が3でもう一方が4のとき。そう、美しい整数比のときに重なり合う二本の弦の音は、快く響くことが実験で分かったというのです。
 いえ、むしろ、美しく響く音色を作り出しているからこそ、その整数比を美しいと感じるのかもしれません。人がいなくとも宇宙は存在しますが、人に心がなければ宇宙を感じることはできません。人の心が美しいと感じるもの、それこそが宇宙の原理だとしたら…。

 数はとても美しい。それによって作られたこの世界は、やはり美しいのです。
 みんなが数を学ぶ意味はそれだと、私は思うのです。
 世界の美しさを知るために。あなたたちが、けっして世界に絶望しないように。

 算数の楽しさを知ってもらえたらとてもうれしいです。また悩んだときはいつでも相談してください。

おじさんより

追伸
 ピタゴラスの考えた音階の仕組みを同封します。
 算数を好きになるきっかけになったらうれしいです。

※鍛冶屋---鉄製品を扱い、刃物、工具、農具などの製造、修理を行う店

おじさんが同封した音階の仕組み

~ピタゴラスの考え方でドレミファソラシドの音階を作ってみよう~

     
  • ① ある長さの弦を1として、1の長さの弦と、その半分の長さの弦を用意します。
  • ② 長いほうの弦を低い「ド」とすると、半分の長さの弦は高い「ド」となります。弦の長さが1/2になると、1オクターブあがる仕組みです。
    (オクターブというのは音階の8つ分のこと。ドレミファソラシド、ね、8つでしょう。)
  • ③ 「レミファソラシ」は低い「ド」と高い「ド」にはさまれているので、高いドの弦より長く、低いドの弦よりも短い弦にすれば、それらの音を表すことができます。
  • ④ ピタゴラスが美しいと感じた音の整数比、2 : 3が音を作る鍵です。低い「ド」と2 : 3の関係になる音の弦の長さをとして、2 : 3 =:1で求め、=2/3となります。
  • ⑤ ④をさらに2 : 3の法則にあてはめると、次に見つかる弦の長さをとして2 : 3 = : 2/3で求め、=4/9となります。 4/9は1/2よりも短くなってしまうので、低い「ド」と高い「ド」の間におさめるために、倍の長さにして8/9とします。倍の長さにすると、音は1オクターブ下がるので、例えば高い「レ」が低い「レ」になります。
  • ⑥ このような手順でどんどん2 : 3の法則にあてはめていきます。
    ※ただし、最後の1つだけは高い「ド」から求めます。高い「ド」と2 : 3の関係になる音の弦の長さをとして、高い「ド」より長くなくてはいけないので、2 : 3 =1/2 : で求めることができ、=3/4 となります。
  • ⑦ ここまでにできた弦を、低い「ド」から順に長いものから並べましょう。
  • ①~⑦の方法を使うと、考えると、ドレミファソラシドはこの表のようになります。

どうですか。数で音が作れるなんで、すごいと思いませんか。

問題

(1)
手紙に書かれている、古代ギリシャの哲学者たちが直面していた問題とは何ですか。もっとも適切なものを次のア~オの中から1つ選びなさい。
  • ア 音楽と数学に密接な関係はあるのだろうか。
  • イ 万物の根源には何があるのだろうか。
  • ウ 重なり合ったハンマーの音が快く響くのはなぜだろうか。
  • エ 2本の弦の長さが整数の比になるとき、快く響くのはなぜだろうか。
  • オ 音楽では、どのような音階を用いるべきか。

(2)
ピタゴラス学派はどのような仮説を立てたのですか、答えなさい。

(3)
おじさんは手紙の中で、「伝説」よりも、「エピソード」のほうが「科学的に信憑性がある」と言っています。しかし、なぜそのように考えたのか、理由は書かれていません。おじさんが「科学的に信憑性がある」とした理由は、どのようなものだと考えられますか。もっとも適切なものを次のア~オの中から1つ選びなさい。
  • ア ピタゴラスが鍛冶屋の前を通りかかったとは考えられない。
  • イ ハンマーの音は、その重さだけでは決まらないのではないか。
  • ウ 弦の音は、その長さだけでは決まらないのではないか。
  • エ きちんとした実験をした結果でなければ信用するべきではない。
  • オ 一般に、伝説とは信用できないものである。

(4)
おじさんが「科学的に信憑性」がないと考えているにもかかわらず、ハンマーの「伝説」も紹介したのはなぜだと考えられますか。もっとも適切なものを次のア~オの中から1つ選びなさい。
  • ア ハンマーの「伝説」のほうが、弦の「エピソード」よりも、音楽に関係があるような感じがするから。 
  • イ ハンマーの「伝説」のほうが、弦の「エピソード」よりも、ピタゴラスの人となりがよくわかるような感じがするから。
  • ウ ハンマーの「伝説」のほうが、弦の「エピソード」よりも、数学的な感じがするから。
  • エ ハンマーの「伝説」のほうが、弦の「エピソード」よりも、日常的なことから重大なことに気がついたような感じがするから。
  • オ ハンマーの「伝説」のほうが、弦の「エピソード」よりも、科学的な実験を通じて重大なことを発見したような感じがするから。

(5)
【おじさんが同封した音階の仕組み】の表を完成させます。空らんAにあてはまる数字を書きなさい。

(6)
低い「ド」の弦の長さを1としたとき、「ラ」の弦の長さは16/27となります。このときの「ラ」の音より1オクターブ高い「ラ」の弦の長さはいくらですか。もっとも適切なものを次のア~エの中から1つ選びなさい。
  • ア 8/27 
  • イ 32/27
  • ウ 16/54
  • エ 32/54

(7)
下の図1は、「ド」の音を発する弦を表したもので、グラフAは、その音を山と谷で表したグラフ(音色の形)です。グラフAのこぶの数は 2 個になっています。

この弦を短くしていくと音は高くなり、山と谷の数は増えていきます。

この低い「ド」と高い「ド」の間にある「ソ」の音を発するとき、弦の長さと山と谷のグラフはどうなりますか。弦の長さの両はしが分かるように、解答用紙に を書きなさい。 また、こぶの数が分かるようにグラフ(音色の形)を書きなさい。


(8)
ピタゴラスが作った音階からさらに改良が重ねられ、現代の音階は次のようになっています。

「ド」と「ミ」と「ソ」の組み合わせは、もっとも美しく響く和音と呼ばれています。なぜ「ド」「ミ」「ソ」の組み合わせが美しく聞こえるのか、表を参考にしてその理由を書きなさい。

答えを見る

解答・解説

解答

(1) イ

(2) 宇宙は数で成り立っていること

(3) イ

(4) エ

(5) 64/81

(6) ア

(7)

(8)
ドミソは、山と谷の数が1:5/4:3/2 となり、4:5:6にすることができる。これはきれいな整数比なので、ピタゴラスが考えたように美しく音が響く組み合わせになっているから。

出題の意図

 この問題は、どれか1つの教科に分類することはできません。
「なぜ学ぶのか?」と、立ち返って考えてみると、私たちの日常生活のいたるところに課題があり、それを解くために学んでいます。
ですから、今回はそれをそのままの形で出題することにしました。

 今回の課題は、数学の面白さをわかってもらおうというおじさんが書いた手紙を理解して、数学の面白さへとつながるような形で出題しました。
話題としてはピタゴラス音階と呼ばれているものです。今回の出題で興味をもった人は、調べてみると面白いと思います。

各小問のねらい

(1)文章を正しく読めているのかという読解の基本的な課題です。
ピタゴラス学派以外の複数のギリシャの哲学者にも共通する「直面していた問題」は何かを見つける問題です。
この問題ができていれば、聖徳太子タイプの力である傾聴力の一部と、分散して書いてあるものを見つけるホームズタイプの力の一部ができているといえます。

(2)ピタゴラス学派が主張していたものを「仮説」という言葉で問われているので、「仮説」という言葉を探していても見つからない課題です。ピタゴラス学派が気づいた事例から「仮説をたてたのだな」ということがわかれば対応できます。
この問題ができていれば、論理的に考えるアルキメデスタイプの力の一部ができているといえます。

(3)この問題は、手紙の著者の意図を把握するというよりも、科学的に信憑性があるという評価の基準において妥当と考えられるものを選びなさいという、論理と判断の力を見ている問題です。
この問題ができていれば、論理的なアルキメデスタイプの力と、判断が優れたダビンチタイプの力の一部ができています。

(4)この問題も手紙の著者の意図を把握する課題ではありません。文章構成上の事例の価値を把握する課題です。この課題ができているお子さんは、文章を書く上で必要な力があるといえます。
この問題ができていれば、文章の構成要素の関係を把握できる聖徳太子タイプの力と、構成により説得力を持たせる構図を作れるダビンチタイプの力の一部ができているといえます。

(5)この問題は、おじさんが同封した音階の仕組みから、音階を作ってみることですが、音階の仕組みは手続き的に書かれていないので、単純には答えが見つかりません。どのように作られているのか原則論を文章で読んで、事例に合わせて読み解くことが必要です。
このため、この問題ができていれば、論理を構成するアルキメデスタイプの力のと、先を見通せるアインシュタインタイプの力の一部ができているといえます。

(6)この問題は、①から⑦までのルールから、1オクターブという条件のルールを見出して適用する問題です。適切なルールを多くから選ぶということが問われている中心です。
この問題ができていれば、情報を適切に選択できるホームズタイプの力の一部ができるといえます。

(7)この問題は、文章で与えられた条件を、別の表現形式に直すもので、見通す力が問われるものです。
この問題ができていれば、洞察力豊かなアインシュタインタイプの力と、読み解くホームズタイプの力の一部ができるといえます。

(8)理由を問う問題ですが、単に手紙に書かれていたことを書くだけでなく、それを読み解いて、現象に当てはめて、きちんと関係性を見出して述べることが求められています。
この問題ができていれば、論理力があるアルキメデスタイプの力と、見通すアインシュタインタイプの力と、的確な適用ができるダビンチタイプの力の一部ができているといえます。

練習問題にチャレンジ

  • 1 ベーシック問題
  • 2 ハンズオン問題A
  • 3 ハンズオン問題B
  • じっくり取り組みたい君へ!合教科問題